「SEのための図解技術」を読んで


読む前は、図解のテクニックをいくつも紹介するハデな内容を想像していたが、良い意味で覆された。
著者は、この本の一部で、物事を習得していく際には核となるKeystone(戦略的重要拠点)を押さえることが重要と述べている。KeystoneはHowto-Tipsのようなものとは異なり具体的にすぐに目に見えるものではないが、それを押さえることでその先のスキルの習得が容易になり、より深い構造的な知識が得られるということである。
この点は、私自身も最近実感する部分である。プログラミングや技術知識の習得(またはその他知識全般)においては、どうしても見た目で成果の上がりやすいような具体的な方法(つまりHowto-Tips)を先に覚えようとしてしまう。しかし、そのようにKeystoneを回避して具体的な方法ばかりを覚えようとしてしまうと、応用力のない知識になってしまう。
この本自体が、そのKeystoneを意識した内容になっていて、実際の具体的な図解のテクニックをただ羅列するのではなく、なぜその図解を必要とするか、どのようなシチュエーションでそれを使うべきかを深く考察するように進んでいく。著者の考え、方向性がその本の中でも具体的に実践されているため説得力がある。